- 肩甲骨を動かすとゴリゴリ凄い音。肩甲骨を寄せると鎖骨がすごくひっぱられる…
- 姿勢をよくした状態でも肩がかなり前に出てしまい、思いっきり肩を後ろにしてやっとキレイな姿勢に…
- 鏡で自分を見たらすごく姿勢が悪く、正直今すぐにでも治したいから巻き肩の改善方法を教えて!
巻き肩を直そうとしてもなかなか改善しない人も多いです。長年に渡って形成された姿勢で、脳がその姿勢を正しいと覚えてしまっています。また、背骨にもクセがついてしまっています。
私は基幹病院で理学療法士として働くだけでなく、トレーナーとして水泳の国体選手のケアも行っています。
水泳競技では水の抵抗を少しでも軽くするために、まっすぐでキレイな姿勢をキープすることがとても大切。最近よく聞くインナーマッスルのトレーニングも実は水泳競技の姿勢トレーニングから始まっているんです。
そこでこの記事では巻き肩の原因や対応方法として、自分でできるチェック方法からストレッチ・筋トレまでまとめて解説します。
巻き肩の改善ポイントは肩甲骨の動きを引き出すこと。姿勢をキレイにするだけで、自分の身体にかかる負担を軽くし、周りからの見た目の印象も変わります。
この記事を読めば「身体に負担をかけないキレイな姿勢の作り方」がわかります。
巻き肩とは肩が前方に出た姿勢
巻き肩は、胸を張るのとは反対に肩が前方に出た状態でクセが付いてしまった姿勢のこと。
巻き肩になると、横から見た際の姿勢が悪くなり、「耳→股関節の外側の出っ張り→外くるぶし」を結んだ線より、肩が前側に出てきます。
>>正しい姿勢のチェックポイントはこちらの記事をどうぞ
巻き肩の3つの原因!
①デスクワーク中の悪い姿勢のクセ
巻き肩は背中が丸まったままの座り姿勢が影響しています。
特にデスクワークでは肩が丸まった状態になりやすく、そのまま巻き肩になってしまう人も多いです。
また、適切な高さのデスクを利用していないと、顎が上がった状態となってしまい、これも巻き肩の原因となります。これらの悪い姿勢が長時間・長期間続くことで身体がゆがみ、背骨にもクセがついてしまいます。
まずは、自分がデスクワークを行う際の姿勢や、普段の座っている姿勢を見直すところから始めてみましょう。
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②筋肉のバランスが崩れ、肩甲骨が開いてしまう
私たちの身体には、全身にたくさんの筋肉があります。巻き肩になることにも筋肉が関係しており、特に「胸にある筋肉」と「背中の筋肉」が最も関係しています。
巻き肩になると、肩が前に出てくるため背骨と肩にくっついている「背中側の筋肉」が徐々に伸ばされてきます。「背中の筋肉」は肩甲骨を背骨に寄せたり、胸を張る動きをサポートしています。しかし、背中の筋肉が伸ばされてしまうと、肩甲骨を寄せたり、胸を張る動きが弱くなっていきます。
反対に、「胸にある筋肉」は全く伸ばされずにその状態で固まってしまいます。
ゴムを連想すればわかりやすく、引っ張りすぎるとゆるゆるになって、古いゴムは伸びなくなってしまいますよね。
巻き肩では、「背中の筋肉」に筋力低下が起き、「胸にある筋肉」には柔軟性の低下が起きます。
部位 | 筋肉の状態 | バランスを整えるには |
背中の筋肉 | 筋力が低下している | 適切に力を入れる >>巻き肩改善の筋トレ方法はこちら |
胸にある筋肉 | 筋肉が固くなっている | ストレッチで柔軟性の改善 >>巻き肩改善のストレッチ方法はこちら |
このバランスの崩れによって、肩甲骨が前に引っ張られ、普通にしていても方がすくんだ状態になってしまうのです。
そのため、ストレッチで「胸にある筋肉」の柔軟性を良くして、「背中の筋肉」の筋力を良くすれば、巻き肩の改善に近づきます。
③肋骨が硬くなり、鎖骨が肩を前に引っ張る
私たちの胸の前面にある肋骨は全部で12本あり、それぞれがジャバラのように連動して動く仕組みになっています。前後左右にある程度の可動性を持っており、肩の動きとも連動しています。
しかし、肋骨の動きが固くなると胸を張る動作ができなくなり、普通にしていても巻き肩の姿勢へと近づいてしまうのです。
また、肋骨の動きが制限されると、その上にある鎖骨にも影響が出てきます。鎖骨は肋骨と肩甲骨をつなぐ役割があるため、鎖骨が肩を前に引っ張り巻き肩の姿勢を強めてしまうのです。
巻き肩のデメリット
巻き肩になると、様々なデメリットが生じます。2つ例を挙げて紹介しますので、巻き肩によって起こるデメリットを理解しておきましょう。
①肩や首のコリが起こる
巻き肩になると首や肩のコリが起こります。
肩甲骨を背骨に寄せる「背中の筋肉」が固くなったり筋力が落ちたりすると、周りの筋肉がそれを補いながら働きます。そうすると、いつもより余計に負担がかかるため筋肉が疲労してしまいます。
さらに、筋肉を使いすぎると柔軟性が落ち、肩こりなどを増強させてしまうのです。
②見た目の印象が悪くなる
巻き肩は筋肉や骨の影響だけではなく、姿勢の乱れにもつながります。
最初にお伝えした通り、巻き肩では肩が前に出た姿勢になります。背中も丸るため、誰が見ても基本的には「あの人姿勢が悪いなぁ」と判断されてしまいます。
身体の内側だけであれば問題ないと考える方もいますが、見た目にも大きな影響が出るため、注意が必要です。
巻き肩の簡単セルフチェック方法
自分が巻き肩になっているかどうかは、簡単にチェックすることができます。以下に手順を紹介しますので、ぜひ内容を読みながら実践してみましょう。
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- 両足を肩幅くらいに開いて、壁に背を向けてに立ちます。
- 両手を上に挙げて、バンザイを行っていきます。
- なるべく耳から腕が離れないよう、注意しながら限界までバンザイをします。
この時は腰や身体を反らさずにバンザイをしていきましょう
- 周りの人や鏡で、どこまで腕が上がっていたかを確認しましょう。
腕はどこまで上がりましたか?
(1)壁に着くまでまっすぐ上がった
(2)腕の上がりはが耳より前が限界
「腕の上がりはが耳より前が限界」だった方は巻き肩の可能性が高くなります。
バンザイをして腕を上げ切るには肩甲骨が十分に動く必要があります。
肩甲骨は「背中の筋肉」が動かしており、さらに「胸にある筋肉」の柔軟性が無いと最後まで腕を上げ切ることはできません。
巻き肩では「背中の筋肉」に筋力低下が起き、「胸にある筋肉」には柔軟性の低下が起きます。バンザイをするだけで確認することができ、すぐにチェック可能なので、今すぐ実践してみましょう!
巻き肩を改善する3つの方法
ここからは、実際に巻き肩を改善していくための3つの方法をご紹介していきます。
巻き肩のストレッチ
巻き肩は「胸にある筋肉」の柔軟性が低下することが原因の一つ。ここでは3つストレッチを紹介します。イスに座ったままできるストレッチもあるため、こまめに取り組むようにしましょう。
(1)椅子に座ったままできる肩甲骨を引き寄せるストレッチ
- 椅子に座り、背筋を伸ばして良い姿勢を取ります。
- 両側の肩甲骨を引き寄せるイメージで、限界まで内側へと寄せていきます。
この時、胸の部分の筋肉が伸ばされているのを感じながら行いましょう。
- 限界まで肩甲骨を引き寄せたところで、5秒間キープします。
- そのまま力を緩め、元の姿勢に戻ります。悪い姿勢には戻らないように気を付けましょう。
- これを5回繰り返します。
このストレッチは「胸にある筋肉」を伸ばして、柔軟性を高めるストレッチです。
前側の筋肉が固まってしまわないように気付いたら行いましょう。1日に何回行っても構いません。
(2)片方ずつ前側の筋肉をストレッチする方法
- 柱や壁などの近くに立ち、腕1本分の距離を取ります。
- 片方の腕を伸ばしたまま90°上げ、柱などを掴みます。壁の場合は、手のひらをくっつけます。
- 左手を上げている人は時計回り、右手を上げている人は反時計回りに、体を回転させます。
この時、掴んでいる手や壁につけている手を動かしてはいけません。
- 胸の部分にある筋肉が伸びていることを感じて、気持ちいいくらいのところに調整します。
- 10秒間キープし、元に戻ります。
- これを5回繰り返します。
※反対側も行うようにしましょう。交互に行っても構いません。
(3)頭の後ろで手を組むストレッチ
- 両腕を頭の後ろにまわします。
- 左手で右手の手首を持ち、左手の方へ引き寄せます。
腕の内側や胸の横・下の筋肉が伸びることを感じながら行いましょう。
- この状態で10秒キープします。
- これを5回繰り返します。
※反対側も行うようにしましょう。交互に行っても構いません。
巻き肩の筋トレ
筋力トレーニングを行うことも巻き肩を改善するためには効果的です。巻き肩は「背中の筋肉」の筋力低下が原因の一つ。
ここでは背中側の筋肉を鍛える筋力トレーニングを2つ紹介します。
(1)うつ伏せで背筋
- うつ伏せになります。
- 手のひらは床につけて、バランスを取れるようにします。
- 足は上げずに上半身だけを起こし、胸を床から離します。
- この動きを1セット10回、1日2セット行います。
(2)ペットボトルを利用した筋トレ
- 両手に500mlのペットボトルを持ち、ペットボトルがハの字になるように腕を90°まで上げます。
- そのまま腕を真横へと移動させていき、限界まで肩甲骨を寄せていきます。
この際、肘が曲がったり持っている手がねじれたりしないよう、キープしましょう。 - そのまま10秒間キープします。
背中や首辺りにきつい感じがあればOKです。 - 元に戻して、再度同じ動きを行います。
- 1セット5回、1日2セット行いましょう。
巻き肩の改善サポートグッズ
巻き肩の改善にはサポートグッズを利用する方法もおすすめです。
サポートグッズには、姿勢強制ベルトや、骨盤サポートチャア・クッションなどがあります。
姿勢が悪くなることで生じる巻き肩の予防には、正しい姿勢で過ごすことが大切であり、人間は無意識のうちに姿勢が乱れていることもあるので、サポートの活用は非常に効果的です。姿勢が悪い自覚はあるのになかなか改善できないという方は、一度利用を検討してみるのも、良いかもしれません。
「巻き肩なのに、骨盤サポートグッズを利用するの?」と感じた方がいらっしゃるかもしれません。私たち人間には背骨があり、背骨のカーブは猫背などにも関係しています。背骨は骨盤とつながっており、骨盤が前側に傾くと背骨も前側に、骨盤が後ろに傾くと背骨も後ろ側に傾きます。巻き肩につながる「猫背」は、骨盤が後ろ側に倒れることによって起こります。
座り方が乱れていると、骨盤が後ろ側に傾いてしまうため、骨盤サポートグッズで調整する必要があるのです。簡単にではありますが、このような原理で、骨盤も巻き肩に関係しています。
巻き肩を予防する習慣を身につけよう
巻き肩を予防するためには、ストレッチやトレーニングのみならず、日々の生活で悪いクセを修正していく必要があります。
デスクワーク時の姿勢
まずは、デスクワーク時の座り方です。
机が高すぎたり、イスが低すぎたりすると、顎が上がり巻き肩の原因となってしまいます。逆に、机が低すぎたり、イスが高すぎたりすると、猫背の姿勢になりやすく続いて巻き肩になってしまうこともあります。高ければよいということではありませんし、では低くすれば良いという事でもありません。
自分の身体に合った、適切な高さに調整することが大切です。
また、いつまでも同じ高さのセッティングで利用するのも好ましくありません。人間は身長が伸びることもありますし、若干ではあるものの筋肉量等が変化することもあります。そのため、数か月前のセッティングをいつまでも利用するのではなく、できれば毎日、少なくとも1週間に1回は、デスクワーク姿勢の見直しを行うことが大切です。
スマートフォン使用時の姿勢
次にスマートフォンを利用する際の姿勢です。
巻き肩は別名「スマホ姿勢」とも呼ぼれる程、スマートフォンを利用している姿勢と関連があります。スマートフォンの画面を見る際、あまりにも目が近いとかがんだような姿勢になってしまいますよね。これが巻き肩に近い状態です。
離しすぎるという方はいませんが、近づきすぎるという方はたくさんいらっしゃいます。
スマートフォンを見る際は、25~30cmくらい離すように心がけましょう。特に15cm以下の距離でスマートフォンを見ている方は要注意です。今すぐスマートフォンと目の間に定規を入れて確認してみましょう。
長時間同じ姿勢を取り続けない
最後に、長時間同じ姿勢を取り続けないことです。
同じ姿勢が長時間続くと、私たちの体は血流が悪くなります。血流が悪くなると、筋肉の柔軟性が低下することや、筋力低下にもつながります。デスクワーク時には同じ姿勢を取り続けていることが多く、長い人では数時間に及んで同じ姿勢でいることもあります。これが毎日続くと、巻き肩だけではなく冷え性などの原因にもなり、非常に好ましくありません。
20分~30分に一回は、イスからまたは床から立ち上がり、先ほどご紹介したストレッチや筋力トレーニングを実践してみましょう。もちろん、立ち上がるだけでも血流を改善する効果はあります。とにかく、同じ姿勢を長時間続けないということを覚えておきましょう。スマートフォンのアラーム機能等を利用して、強制的に区切ることも非常に効果的ですよ。このような、巻き肩を予防するためのポイントを押さえ、日々の生活から改善していきましょう。
継続して習慣にするための方法はこちらの記事で紹介しています。
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まとめ
ここまで巻き肩の原因や対応方法として、自分でできるチェック方法からストレッチ・筋トレを解説しました。
姿勢をキレイにするだけで自分の身体にかかる負担を軽くし、周りからの見た目の印象も変わります。運動中の肩こりで悩んでいる方も、姿勢を修正することで改善がみられるかもしれません。
- 巻き肩とは肩が前方に出た姿勢
- 巻き肩の原因は①悪い姿勢のクセ②筋肉のバランスが崩れている③肋骨や鎖骨が固くなること!
- 理想的な体のバランスを取り戻すためには手軽に行えるストレッチと筋トレが大切!
巻き肩は長年のクセで作られた姿勢で、改善や予防にはコツコツ取り組むことが必要です。
今回の記事を参考に日常生活のちょっとした工夫で姿勢の乱れを改善し、姿勢美人なりませんか?