革靴やパンプスの傷をキレイにする方法|自分で補修?修理店に依頼?迷ったらココを確認!

  • 革靴のつま先部分を机にぶつけたのが原因で、えぐれてクレーターみたいに…。目立たなくする方法はないでしょうか?
  • 気づいたらパンプスが擦り傷が多くできていた…。もう履かない方が良いのかな。
  • 自分でキレイにできるのはどれくらいの傷まで?まずは自分で試したいからやり方を教えて!
お気に入りの靴ってよく履くので知らないうちに傷がついていることってありますよね。傷が増えると靴が痛むだけでなく、周りからの印象もよくありません。
そこでこの記事では靴の傷をキレイにする方法として、傷の種類別に具体的な補修方法をまとめています。さらに自分で補修できる傷の種類や程度がわかれば失敗するリスクも減らせます
靴をキレイにすることで見た目の印象が良くなり清潔感がでますし、お気に入りの靴を長持ちさせることもできますよ。
この記事を読めば「お気に入りの靴をキレイに直す」ことができます。

革靴やパンプスにできやすい傷の種類

普段、革靴を履いている人なら心当たりがあると思いますが、革靴には色んな種類の傷がつきます。
キズの種類によって補修方法が異なるので、まずは傷の種類を説明します。

すり傷

すり傷は歩いている時に擦ってしまうことで、できる傷です。
  • 満員電車で靴と靴が擦れる
  • 階段でつま先が擦れる
  • 靴を脱ぐ時に手を使わず、反対の靴を使うことで擦れる
など、状況は様々ですが、生活していて1番つきやすい傷です。
すり傷は浅いため、比較的かんたんに補修することができます。

切り傷(えぐれ)

切り傷は、すり傷よりも強い力や硬い物に当たることで、深く削れてしまう傷です。その際、革がえぐれるとより深い傷になります。
  • 人に踏まれた
  • 縁石にぶつけた
など、すり傷に比べて深く、見るからに傷がついた状態です。
補修には【穴埋め】が必要なため、補修の手順が増えます。

へこみ

一点に強い力がかかると一部がへこみます。
つま先部分やカカト部分など、硬い部分にできやすいのが特徴です。

靴底の側面(コバ)の傷

コバとは、上物の革に近い部分にあり、側面を一周している部分です。(別名:ウェルトや押しブチと呼ばれることもあります)
歩いているときに靴同士が擦れることによって、傷ができることがあります。
あまり深い傷だと、機械を使い「ならす」作業が必要なため、自分でできる範囲は限られます。
色を入れたり、簡単な傷補修であれば機械なしでも可能な補修です。

【革靴の傷】自分で補修?修理店に依頼?迷ったらココを確認!

傷の深さや傷がついた場所、また素材によっては、機械を使わないと補修できない場合があります。
自分でできる範囲を覚えておきましょう。
黒、ネイビー、濃い茶色
傷の程度 浅めの傷は容易
傷の深さによってできないものも
靴の素材 本革(スムーズレザー・一般革)
上記の条件であれば、ご自身で対応ができます。
この条件以外はできないの?と思う人もいると思いますが、結論からお伝えすると、この条件以外でも補修はできます。
ただし
  • 深い傷を埋めた時の、やすりをかける処理
  • 色を作る際の調合
これらは機械を使わなければできないことや、熟練した調合の技術が必要になります。傷の程度や靴のお色によっては修理店にご相談ください。
自分でできる範囲とその理由について、詳しく説明します。

靴の色

傷の補修には着色補修クリームを使います。着色補修クリームは基本的な色から、あまりない色まで数十種類あります。
混ぜて使うことができることから、色の調合は無限です。
しかし、お靴の色と全く同じ色を作らないとムラが出たり、見た目がおかしくなります。
乾くと色味が多少変化するため、靴の色によっては熟練した技術が必要になります。
そのため自分で行う補修には
  • ネイビー
  • 濃い茶色
 などの濃い色合いの靴であれば、ムラなくキレイに仕上げることができます。
着色補修クリームは1本¥1000以上のお値段のためいくつかの色を調合して色を作るとコストがかかります
他にも薄い色や明るい色の靴は、傷の程度によっては傷口が黒っぽくなってしまうことがあります。
失敗を防ぐために、薄い色や明るい色は修理店に依頼する人が多いです。

傷の程度

浅めの傷であれば簡単に補修をすることができます。
表面を指で触った時に、ザラつきを感じる程度であれば「浅い傷」として補修が可能です。
深い傷は機械で表面を「ならす」必要があるため、ご自身で行うには限界があります。
指で触った時にデコボコを感じたり、革の銀面(艶やかに加工されている革の表面)が完全になくなっている状態が「深い傷」となります。
デコボコ感とは「月のクレーター」をイメージしてください。
靴の傷補修で1番大事なのは、やすりで傷をならし表面を整えることです。キズの場所によっては、手作業で長時間やすりをかけるのは非常に体力のいる作業です。
深い傷なのか浅い傷なのか、判断がつかない場合は「すり傷」の要領で補修をしてみてください。
表面を紙やすりで、ならす作業をした際凸凹がなくならない場合は、機械が必要な深い傷と覚えておきましょう。
もし、自分でヤスリがけをしてダメだった時は、修理店にお願いしても大丈夫なの?
やすりがかかっている状態で、修理店に持って行っても問題はありません。
機械でならす作業は紙やすりの延長なので、表面をやすりがけする工程は変わらないからです。
修理店では特殊なパテ材(市販では買えない)物を使用して機械じゃないとやすれない加工をするため、途中まで作業して自宅でできないと判断した後でも手遅れにはなりません。

革の種類

本革以外の素材は、ご自身でも修理店でも基本的に補修はできません。
なぜなら傷の補修には、革をならして凹凸をなくす作業が必要になるからです。
【布地に合成樹脂を塗布して作る「合皮」】や【起毛である「スエード」】・【ツヤ加工をしている「エナメル」】は表面をならす下処理ができないのです。
補修する際には必ず
  • 本革なのか
  • それ以外なのか
を把握しておく必要があるでしょう。
本革と合皮を見分けるにはどうしたらいいの?
本革と合皮を見分けるには、傷の断面をよく見てください。
本革の場合:
傷の断面が毛羽立ったり、シワが寄ったりしています。
また傷の断面(表面から奥の層)が青のような緑のような色をしていたら本革で間違いありません。なぜなら革の製造過程で「革の中間層」に、このような色がつくからです。
合皮の場合:
傷の断面に布地が出ることがあります。布地に合成樹脂を塗布して革に似せているためです。

革靴の傷補修に必要なグッズを準備しよう

傷の補修に必要な道具を紹介します。
全てホームセンターで揃いますが、通販サイトでも簡単に注文ができるものです。
一通り揃えておくと、いざという時に役立つかもしれません。

馬毛ブラシ(¥1000〜¥2000)

表面のホコリや汚れを除去するために、毛質のやわらかい馬毛ブラシを使います。
表面に汚れがついた状態で傷の補修を行うと、汚れが付着して補色がキレイにできません。
必ず作業する前に表面のホコリや汚れを除去するようにしてください。

紙やすり・サンドペーパー#400・#1000(¥500円前後)

紙やすりはホームセンターで¥500ほどで購入できます。
やすりには目の粗さによって番号が割り振られており
【#小さい数字(目が粗い)→#大きい数字(目が細かい)】このようになっています。
【#400】と【#1000】の2種類あれば、さまざまな傷に対応できます。
粗いやすり(#400)を使ったあとに、細かいやすり(#1000)を使って表面を整えるのが一般的な順番になります。

革専用の着色補修クリーム(¥1000〜¥1500)

紙やすりで表面を削り、色が抜けている部分に使用する物です。
成分に顔料が入っているため、革の表面に色を定着させ、傷をカバーして自然な仕上がりになります。
深い傷には重ね塗りをして厚みを出したり、他の色と混ぜて色を作り出すこともできます。
表面の色を入れる効果に加えて、穴を埋める場合にも効果を発揮します。
一般的に使われるのは、サフィール社のレノベイティングクリームです。
衣服に付着すると完全に取ることが出来ないほどの着色力があるため、使用時は汚れても良い服装で作業しましょう。

革専用パテ材(¥300〜¥500)

穴埋めする際に使用します。
浅い傷であればパテ材を使用しなくても問題ありませんが、深い傷にはパテ材で傷を埋めないとキレイに補修ができません。
[穴埋めはパテ材]、[色入れは着色補修クリーム]と覚えておくといいでしょう。
一般的に使われる靴専用のパテ材は、コロンブス社のアドベースです。

綿素材であれば特に靴専用の物を使う必要はなく、いらなくなったTシャツで代用ができます。
着色補修クリームを布にとって塗ったり、着色補修クリームが乾いた後、表面を拭き取る際に使います。
布の色は、できれば白か薄い色を使いましょう。
なぜなら着色補修クリームを布につけて塗る際、布のどこに付いているか一目でわかると作業効率が上がるからです。
誤って靴以外に付着するのを防止することもできます。
着色力が強いクリームなので、布のどこについているかわかる【白い布】、もしくは【薄い色の布】を使うのが良いでしょう。

綿棒

細かい場所に着色補修クリームやパテ材を塗る際に使用します。
細かい作業に使うものなので、場合によってはなくても問題ありません。
綿棒を使わずに指を使った方が補修しやすい場合もあるので、必要に応じて使用してください。

定規などの板状のもの

スクレーパーと呼ばれる専用の物もありますが、定規のような板状の硬いものがあれば代用できます。
パテ材で深い傷を埋める際に、はみ出た余分なパテ材を取るために使用します。
傷の程度が浅ければ使う必要がないので、深い傷の補修の際に用意しましょう。

【傷の種類別】革靴・パンプスの傷をキレイにする方法

傷の種類によって補修方法が異なりますが、すり傷の補修方法がベースとなります。
他にも傷の深さによって手順が増えることもあるので、順番に説明していきます。

すり傷の補修方法を5ステップで解説

すり傷の補修方法は汎用性があるので、しっかり覚えましょう。
  1. ブラッシング
    馬毛ブラシで全体的にブラッシングをします。

    ホコリや汚れが残っていると、補修する傷がさらに汚くなり、色が入りにくくなることもあるからです。

  2. 紙やすりで傷をならす
    傷を目立たなくするコツは、傷の深さと表面の凹凸をなくすことが大切です。
    紙やすりを使うことで、傷の周りをなだらかにして目立たなくすることができます。
    紙やすりの「#400」である程度なだらかにした後、「#1000」で革の毛羽立ちを整えてください。

    やすりを使うと傷付いていない部分まで削ることになりますが、その部分には着色補修クリームを塗るので心配いりません。
  3. 着色補修クリーム
    傷が目立たないくらい表面を削り落としたら、着色補修クリームを塗り込みます。少量布に取って薄く塗り込んでください。
  4. 靴を乾かす
    キズの部分に補色をしたら10分ほど乾かします。完全に乾いていない状態だと補修クリームが剥がれてしまうため、必ず10分以上置くようにしてください。
    厚く塗る場合には、乾いた上に着色補修クリームを再度塗ります。【乾かす】→【塗り込む】を繰り返して層を作っていき、厚みを持たせていきます。
    いきなり厚く塗ると中が乾かず、仕上がりが悪くなってしまいます。
  5. 仕上げ
    補色補修クリームが乾けば、傷の補修は完了です。さらにツヤを出したい場合は、布で拭きあげるか、ブラッシングをしてみてください。靴クリームを使った靴磨きも効果的ですよ。

切り傷(えぐれ)の補修方法

切り傷の補修は、すり傷の手順と一緒になります。すり傷の補修と違う部分は、やすりをかける前に【革専用のパテ材】で埋める必要があります。
  1. ブラッシング
    馬毛ブラシで全体的にブラッシングをします。
    ホコリや汚れが残っていると、補修する傷がさらに汚くなり、色が入りにくくなることもあるからです。
  2. 穴埋め作業でパテ材を埋め込む
    穴に対してパテ材を埋め込み、はみ出た余分なパテ材は拭き取ります。
    定規のような板状の物を使うと余分なパテ材を取り除きやすく、表面を平らにすることができます。
    パテ材を埋め込んだら10分ほど乾かします。
  3. 紙やすりで傷をならす
    傷を目立たなくするコツは、傷の深さと表面の凹凸をなくすことが大切です。
    紙やすりを使うことで、傷の周りをなだらかにして目立たなくすることができます。
    紙やすりの「#400」である程度なだらかにした後、「#1000」で革の毛羽立ちを整えてください。

    やすりを使うと傷付いていない部分まで削ることになりますが、その部分には着色補修クリームを塗るので心配いりません。
  4. 着色補修クリーム
    傷が目立たないくらい表面を削り落としたら、着色補修クリームを塗り込みます。少量布に取って薄く塗り込んでください。
  5. 靴を乾かす
    キズの部分に補色をしたら10分ほど乾かします。完全に乾いていない状態だと補修クリームが剥がれてしまうため、必ず10分以上置くようにしてください。
    厚く塗る場合には、乾いた上に着色補修クリームを再度塗ります。【乾かす】→【塗り込む】を繰り返して層を作っていき、厚みを持たせていきます。
    いきなり厚く塗ると中が乾かず、仕上がりが悪くなってしまいます。
  6. 仕上げ
    補色補修クリームが乾けば、傷の補修は完了です。さらにツヤを出したい場合は、布で拭きあげるか、ブラッシングをしてみてください。靴クリームを使った靴磨きも効果的ですよ。

へこみの補修[2パターン]

1つは叩いて革をならす方法です。
そのまま靴を叩くと、靴が押されてあまり効果がないので、シューキーパーを使い靴の中に土台を作ってから、靴の上からハンマーで叩きましょう。叩くことで革が馴染み、へこみが目立たなくなります。
もう1つは【切り傷(えぐれ)の補修】と同じです。へこんでいる部分にパテ材を埋め込み、やすりで整えて補色をします。表面的に靴の形を整えていきます。
へこんだ靴の形を整えるのは高い技術が必要になるので修理店に依頼する人が多いです。

靴底の側面(コバ)の傷補修方法

コバの傷補修は素材によって異なります。

【コバがゴム素材の場合】

ゴムの場合は基本的にはできません。
修理店では瞬間接着剤を固めて、機械で整える方法でコバ補修をするため、自宅では難しい作業です。

【コバが革素材の場合】

革のコバであれば、【切り傷(えぐれ)の補修】と同じ要領で補修することができます。
しかし場所によってはパテ材を埋め込めず、やはり修理店での作業が必要です。
コパの補修は機械が必要になるので修理店に依頼する人が多いです。

【時間がない人向け】応急処置の方法

傷補修は、下処理が必要なため簡易的に補修することはできません。
もし応急的に
「とりあえず目立たなくしたい」
ということであれば、靴クリームで色を入れる方法があります。
靴クリームの成分には、
  • 染料
  • 顔料
の2種類があり、この場合は【顔料】を使用します。
染料は革に浸透する効果があるのに対して、顔料は革の表面に着色する効果があります。
傷付いて色がなくなっている部分には顔料で補色してください。
あくまで「傷をなくす」ではなく、「色でゴマかす」応急処置です。

革靴の傷を防止するには

革靴は外で履いている以上、少なからず傷が付きます。しかし、傷を最小限に抑えることが出来れば補修も容易です。
日常でできる傷予防の方法を紹介します。

普段からしっかり手入れをする

靴磨きは、単に靴をキレイに保つだけが理由ではありません。
油分の入ったクリームで革を保湿してあげることで、革に栄養が入ります。
人間の肌も同様で、乾燥した肌は傷つきやすかったり、ヒビ割れしてしまいますよね。
普段の手入れをすることで、革が本来の状態を保ち、痛みにくくなります。

新品靴でも初めに靴磨きを

実は新品の靴でも履く前に靴磨きをするのが効果的です。
新品の靴はしっかり手入れがされていると錯覚してしまう人がとても多いのですが、
靴が製造されて、売り場に並び、私たちの手元に渡るまでに期間を要します。物によっては1年〜2年の期間を要する物もあるため、新品で購入したての靴でも履く前にお手入れすることをおすすめします。

ワックスの使用

ワックスは靴のつま先部分に【鏡面磨き】をする際、使用するシューケア用品です。
【鏡面磨きとは】
靴のつま先を鏡のように光らせる磨き方です。
光らせるためには、ワックスと水を塗り重ねていく作業が必要になります。
革の表面の凹凸をなくし、光沢を出す手法なので、革自体はコーティングされた状態になります。
【鏡面磨きの注意点】
コーティングされたためキズがつきにくくなりますが、防げるのは浅いキズのみです。
例えば、踏まれたり強い衝撃がかかると、逆にコーティングが割れて見た目が悪くなってしまいます。
ただ、見た目は悪くなるだけで、革自体にキズが入っていないこともあります。
その場合は一度ワックスを除去し確認するか、程度が少なければその上からワックスを塗ることで隠すこともできます。

防水スプレーの使用

防水スプレーは汚れをつきにくくし、革の劣化を防ぐのに役立ちます。
しかし、防水スプレーは表面を溶かす成分が入っているため、革によってはマダラ模様やシミになる可能性があります。必ず目立たないところで試してください。
普段のお手入れで油分の入った靴クリームで磨いていれば、ある程度の防水効果を生むことができます。そのため、日頃からケアされている革靴には防水スプレーを使用しないことがほとんどです。

靴をローテーションで履く

毎日同じ靴を履き続けると、革がいたみやすくなります。3足をローテーションで毎日履き替えるのが、理想とされている方法です。
2日間履かない状態を作ることで、染み込んだ汗や皮脂汚れを完全に乾かすことができ、靴がいたみにくくなります。
シーズンオフの靴の保管方法はこちらの記事にまとめています。
>>失敗しない靴の保管方法はこちら

まとめ

ここまで靴の傷をキレイにする方法として、傷の種類別に具体的な補修方法しました。

靴が傷ついてもお手入れすれば、お気に入りの靴を長持ちさせることもできますよ。

  • 靴の傷の種類はすり傷、切り傷、へこみ、コパの傷!
  • 傷の補修の基本は①ブラッシング②傷をならす③クリーム補修④乾燥⑤仕上げ
  • 傷を予防して長持ちさせるには、普段からのお手入れと靴のローテーション

おしゃれの基本は足元から。

靴をキレイにすることで周りからの見た目の印象が良くなり、清潔感がでます。

今回の記事を参考に日常生活のちょっとしたお手入れで清潔感のある靴で過ごしてみませんか?