足指の動きを引き出す正しい靴の履き方|5つのポイントを理学療法士が解説

  • 最近、自分の足指が浮き指だったことに初めて気づいた…
  • 靴の履き方なんて教えてもらったことないから分からない
  • 足から健康をサポートしていきたいから教えて!

自分の浮き指に気づいても痛みがなく、そのまま放置してしまう方は非常に多いです。しかし、浮き指を放置すると大きな足のトラブルにつながることもあります。

私は運動器理学療法士として足から健康を支えるために、国立大学で足育(そくいく)の市民講座を開催してきました。そして受講者の方との会話から、多くの人には靴の履き方を知る機会がほとんどないことに気づきました。

そこでこの記事では、初めての方でも自分自身で足をケアできるように「浮き指改善をサポートする正しい靴の履き方」として靴の履き方から浮き指が改善する理由までまとめて解説します。

今は足のトラブルを抱えていない人も、足のトラブル予防や疲労の軽減にも役立つため正しい履き方を知っておくべきです。

この記事を読めば「足から健康をサポートするために重要な靴の履き方のポイント5つ」が全てわかります。

足指の動きを引き出す正しい靴の履き方:5つのポイント

正しく靴を履くことで足と靴が一体化し、一歩一歩が軽やかになります。

足のアーチがサポートされるため重心が安定し、足趾(足の指)が反り返らずに地面を掴めるからです。

私が初めてこの履き方を教えてもらったのは、フットケアトレーナーの講習会に参加した時です。足のふりだしが軽くなり歩幅が少し大きくなった感覚をいまだに覚えています。

足育の市民講座でも1番最初にやる実技は「正しい靴の履き方」です。理由は単純で、やれば効果を実感してもらえるから。まず効果を実感してもらうと受講者のモチベーションが上がり楽しんでもらうことができます。

初めは慣れずにめんどくさいかもしれませんが、正しく靴を履いた時の一歩を体験してみてください
正しい靴の履き方:5つのポイント

  1. 靴紐を緩める
  2. 足を入れてかかとを靴に合わせる
  3. 靴紐の先1/3は靴の中で足の指が動かせるようにほどほどに
  4. 靴紐の中1/3はしっかりしめる
  5. 靴紐の手前1/3は締めすぎて足首が痛くないようにほどほどに

それぞれのポイントを写真付きで解説して行きます。

①靴紐を緩める

靴紐をしっかりと緩める目的は靴の歪みを取ることと、足をしっかり入れる準備。毎日履いていると知らない間に靴には歪みが生じています。この歪みととって、しっかりと足を入れる準備をしましょう。

②足を入れてかかとを靴に合わせる|特に大事!

靴に足を入れたら、かかとと靴を合わせますよくつま先を「トントン」と合わせてしまいますがあれは間違い。
靴はかかとを合わせることで足を安定させるようにデザインがされています。

降り出した足で最初に地面につくのはかかと。このかかとが安定するはどうかで歩きやすさが変わります。

③靴紐の先1/3は靴の中で足の指が動かせるようにほどほどに

かかとを合わせたらいよいよ靴紐を結んでいきます。
先1/3の靴紐は靴のなかで足趾が握ったり開いたりできるぐらいにほどほどに締めます。あまりにキツすぎると靴の中で圧迫されて痛みの原因となります。締めるというより足に合わせるぐらいの感覚が近いです。

足の親指に痛みがある人は特にきつく締めすぎないように注意しましょう。

④靴紐の中1/3はしっかりしめる|特に大事!

中1/3は重要な部分で「横アーチ」のサポートです。ここはしっかりと締めます。

注意点は、足に体重をかけた状態で靴とピッタリと合わせること。

足のアーチは歩くときの衝撃を吸収するための構造です。足に体重がかかるとクッションとして少しだけつぶれるのようにできています。靴紐を結ぶ時に足に体重をかけずに合わせると自然なアーチのつぶれが邪魔されて、キツくて痛みの原因に。

靴とピッタリと合わせる時には足に体重をかけることを忘れないようにしてください。

⑤靴紐の手前1/3は締めすぎて足首が痛くないようにほどほどに

手前1/3は締めすぎて足首が痛くないようにほどほどに締めます。緩すぎるとかかとが靴から抜け出てしますので、ここも足にピッタリと合わせます。
足を少し引いた状態で靴紐を結ぶと反対の足を降り出した時に足首に食い込みません。

以上が正しい靴の履き方になります。きっとめんどくさいと思いましたね。一度だけでもいいのでやって見てください。違いが実感できます。

靴の履き方で足指の機能が改善する理由はアーチのサポート

浮き指は足趾(足の指)が地面につかず、浮き上がっている状態です。その原因の一つは足のアーチが潰れること。

足にぴったり合わせて靴を履くと3つのアーチ(内側・外側縦アーチ、横アーチ)の内、「横アーチ」をサポートしてくれます。アーチが保たれることで足趾が自由に動くことができ、足の指の機能が改善します。

靴紐の中1/3を締めると足趾は開く

足の親指に痛みがある人は靴紐を締めることに抵抗感があるかもしれません。母趾に痛みないように靴紐の先1/3はゆとりを持ってフィットさせてください。

靴紐の中1/3は締めることをおすすめします。理由は靴紐の中1/3は足の「中足部」と呼ばれる部分にあたり、ここを締めることで横アーチをサポートしてくれます。

横アーチが低下すると、母趾(足の親指)の付け根が外側に広がります。外反母趾はこの中足骨頭の外側への広がりと、指先が反対方向へ曲がることで発生します。

そのため、横アーチをサポートするために中1/3を適度に締めることをおすすめします。

それでも靴紐を締めることに抵抗感のある人はインソールでアーチをサポートするのも手段の一つです。
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正しく靴を履いてのウォーキングは効果的!キレイに歩こう

しっかりと靴が履けたら少し歩いてみてください。足踏みではダメです。歩いてみると足と靴との一体感が違うことに気づくはずです。もし締め付けがあって痛みが出たらもう一度履き直してみてください。はじめはうまく履けずにキツかったりすることもあるはずです。

しかし何度か微調整している足と靴に一体感が出ます。そうすると自然とキレイに歩ける足になっています。

キレイな歩き方のポイントの一つは、重心が理想的なラインを通過しているか。

理想的な重心のラインとは

  1. カカトから足が付く
  2. 足のアーチの上を通って
  3. 母指球に抜けていく

このルートを重心が通れば身体の歪みの少ないキレイな歩き方と言えます。
まずは①のカカトで接地することを意識してください。それが身についてきたら次は③の母趾球に重心が通ること。母趾球を使うことで、足の指のトレーニングになります。

正しく靴が履けて入れば重心は自然と②の足のアーチの上を通ってくれます。

キレイな歩き方ができれば今までと比べて疲れにくく、快適で楽しいウォーキングになります。一歩が軽くなるので自然と歩行スピードやランニングのペースも早くなり健康の増進やアンチエイジングにも役立ちます。

正しい靴の脱ぎ方

靴の脱ぎ方なんて意識したことありますか?おそらく玄関でスポッと足を抜いて脱ぐ、なんて人が多いはずです。実際に私もフットケアトレーナーになるまではそう脱いでいました。

正しい履き方があれば正しい靴の脱ぎ方もあります。足と一体になった靴は玄関先でスポッとは脱げません。靴の脱ぎ方も解説していきます。

正しく靴を脱ぐ目的は、靴へのダメージを減らして長持ちさせることと次に靴を履く時の準備です。

正しい靴の脱ぎ方:2つのポイント

  1. 紐を解いて、先までしっかり緩める
  2. 靴のベロを前に倒し、手で靴を持って足から抜く

それぞれのポイントを写真付きで解説して行きます。

①靴紐を解いて、先までしっかり緩める

靴紐をしっかりと緩める目的は靴の歪みを取ることと、次に靴を履くときの準備

ここをしっかりしておくと靴を履くときの手順を一つ省略することができます。

②靴のベロを前に倒し、手で靴を持って足から抜く

履き口を広げてあげることで足が抜けやすくなり、余計なダメージを靴に与えずにすみます。

正しい靴の脱ぎ履きをすれば、靴の寿命を伸ばせます。

足に合った靴の選び方:3つのポイント

足に合った靴を選ぶことはとても大切。どれだけ正しい靴の履き方をしても、そもそも靴が足に合っていなければ効果を得ることはできません。

私も脱ぎ履きしやすいと言った理由で大きな靴を好んで履き足に負担をかけていました。友達と遊んでいてもみんなより足の疲労感が強かったのを覚えています。
しかし、靴を買い換えるときに足に合わせて選ぶことにしてからは、そんなこともなくなりました。

靴を購入する時は次のチェックポイントを確認して選ぶことがとても大切です。

  1. 靴のデザインがつま先の形に合っている
  2. かかとを支えるヒールカウンターがしっかりしている
  3. 靴ひもでフィットさせることができる

めんどくさい気持ちを乗り越えて習慣化を目指す

靴の履き方を身につけるためには毎日の習慣に取り入れることが重要。知るだけでなく行動しなければ効果を得ることはできません。

とはいえなかなか生活に取り入れることが難しそうな人は、①頑張る期間を決めること、②やらなければいけない環境を作ることをおすすめします。つまり、自分で毎日靴紐を結ばないといけない環境を作り出してあげます。

具体的には、靴を脱ぐときにしっかり靴紐を解いて靴を脱ぐこと。こうすると自動的に次に靴を履く時はしっかり足を入れて靴紐を結ぶ環境が作れます。また、新しい習慣を作るには最低2週間かかると言われています。
つまり、

2週間、家に帰ってきたら靴紐を解いて正しく靴を脱ぐ。

これが正しい靴の履き方を習慣化するコツになります。

インソールでも足の指をサポート

正しく靴を履くことができれば、靴が足のアーチをさせてくれるため足趾(足の指)の機能も改善します。さらに、アーチを支える機能のあるインソールを入れて正しく靴を履くことで効果アップが期待できます。

インソール初心者が足の裏に痛みが出ることがありますが、これは歩いているうちに足と靴がずれてしまうことが原因。正しく靴を履くことで靴の中で足がずれることを防ぐことができます。

また、基本的には正しく靴を履くことをおすすめしますが、

  • 朝の忙しい時間に玄関で靴紐を結ぶのは大変。
  • 仕事で履く靴ではいちいち靴紐を結んだりしないよ。

そんな人にはインソールの利用も考えてみてください。靴に入れておけばインソールがアーチをサポートしてくれるので足の指が浮くことも予防してくれます。

まとめ

ここまで「足の指をサポートする正しい靴の履き方」についてお伝えしました。

普段あまり意識しない靴の履き方ですが、足のアーチを支え、足と靴を一体にする大事な役割があります。

この記事のポイントは以下のようになります。

  1. しっかりと靴にかかとを合わせて、靴ひもの中1/3をしっかりと締める
  2.  靴の履き方を習慣化するコツは、「2週間、家に帰ってきたら正しく靴を脱ぐこと
  3.  足に合った靴インソールでサポートすることで効果アップ

靴は歩くときの大きな衝撃を吸収し、足を助けてくれます。

足は人の歩行で唯一地面に接する部位と言われていますが、負担を軽減してあげることで全身の健康に繋がります。

今回の記事を参考に正しい靴の履き方を身につけてみてください!